トラップ教室
「あれ、優香また同じクラスじゃん!」
3年生に上がった当日、昇降口に張られたクラス表を見ていると、梓が後ろから声をかけてきた。
「本当だ。これで3年間一緒だけ」
あたしはそう言って苦笑いを浮かべる。
3年間一緒だからと言っても、梓とは特別仲がいいわけじゃない。
梓は誰とでも同じように会話をして、群れることがないからだ。
「で、夢は決まった?」
3年E組までの道のりで梓が聞いてくる。
あたしはギクリとして梓を見た。
実はまだ決まっていない。
今もまだ祖父母と一緒に暮らしているし、料理もしている。
だけど、兄弟が成長してお手伝いができるようになった今、あたしは自分の役割がわからなくなってきていた。
ずっとあたしの姿を見ていた兄弟たちは口をそろえて「今度は俺たちが頑張るから。姉ちゃんは卒業したら進学や就職するんだろ? だったら、今は自分の心配してろよ」なんて言うようになったのだ。
中学生たちがいっちょまえにそんなことを言う姿に笑ってしまった。
でも、実際そうなのだ。
あたしはもう3年生になってしまった。
夢も憧れもわからないままに。
3年生に上がった当日、昇降口に張られたクラス表を見ていると、梓が後ろから声をかけてきた。
「本当だ。これで3年間一緒だけ」
あたしはそう言って苦笑いを浮かべる。
3年間一緒だからと言っても、梓とは特別仲がいいわけじゃない。
梓は誰とでも同じように会話をして、群れることがないからだ。
「で、夢は決まった?」
3年E組までの道のりで梓が聞いてくる。
あたしはギクリとして梓を見た。
実はまだ決まっていない。
今もまだ祖父母と一緒に暮らしているし、料理もしている。
だけど、兄弟が成長してお手伝いができるようになった今、あたしは自分の役割がわからなくなってきていた。
ずっとあたしの姿を見ていた兄弟たちは口をそろえて「今度は俺たちが頑張るから。姉ちゃんは卒業したら進学や就職するんだろ? だったら、今は自分の心配してろよ」なんて言うようになったのだ。
中学生たちがいっちょまえにそんなことを言う姿に笑ってしまった。
でも、実際そうなのだ。
あたしはもう3年生になってしまった。
夢も憧れもわからないままに。