トラップ教室
「え、ミチルにはわかったの?」


そっちの方が驚きだった。


どうしてミチルや梓は気が着いているのに、あたし自身がつかないんだろう?


「大丈夫だよ優香。きっとわかる日が来るから」


ミチルはそう言って笑った。


そんな日が来るんだろうかと、内心半信半疑だった。


自分のことも理解できないあたしなんて、夢を持ってもダメだと思った。


でも……自分がやりたいことがわかる時が来たんだ。


それは最も最悪な形で。


あたしは今、水に命を握られた教室内にいる。


教卓の上の宝箱の前には夏海が立っていて、今にも電子パネルに手が触れそうだ。
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