トラップ教室
響は曖昧な表情を浮かべてまた考え込んでしまう。


「なんだよ、黙ってないで教えてくれよ」


秀が懇願するように言った。


水はもうすぐあたしの下半身をすべて覆い尽くしてしまうところまで来ている。


もしも、水が頭の上まで来たら宝箱を開放するために水の中に潜らないといけなくなるのだ。


今のあたしたちにそれだけの体力が残っているとは思えなかった。


できるだけ早く、脱出したい。


「……今日って、7月7日だよな?」


響がゆっくりとした口調で聞いてきた。


あたしはまた頭をめぐらせる。


正直、日付の感覚はなくなっていた。


気がついたら校舎内にいた時点で、何月何日になっているのか、確認する手段すら奪われていたし。


しかし、響の言葉を聞いて秀がなにかを思い出したように目を丸くしたのだ。
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