トラップ教室
確かに今回は簡単な答えじゃない。


響は今日が誕生日だし、なにかしら絡んでいてもおかしくはない。


合っているのではないかと期待が胸に膨らんでいく。


あたしは知らない間に胸の前で祈るようなポーズを取り、ゴクリと生唾を飲み込んで秀を見つめていた。


どうか、この数字で合っていますように。


もうあたしたちに時間はないのだ。


ここで鍵を取って外へ出なければ、待っているのは死……。


水嵩は更に増していて、もうすぐあたしの腰まで到達してしまう。


どうか、お願い……。


秀が数字を入力し終えて、大きく息を吸い込んだ。


最後のエンターキーへと指を伸ばす。


あたしは強く両手を握り締める。


後はもう、祈ることしかできなかった。


お願い。


合っていて。


じゃないと、あたしたち……。
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