トラップ教室
このまま真っすぐ家に帰って、ダラダラして。


母親に宿題をしろと怒られて。


飯食って、風呂入って、寝る。


そんな毎日は中学までと何一つ変化がなかった。


なにかしなければという焦りはある。


だけど、具体的になにをすればいいかがわからない。


ただ、言い知れぬ不安を抱えて過ごすばかりだった。


「なぁ、ボランティアをしてみろよ」


ある日の昼時、響が不意にそんなことを言ってきた。


手には白黒で印刷されたチラシを持っている。


「ボランティア?」


俺は口に運びかけた卵焼きを弁当箱に戻し、チラシに視線を向ける。


そこには街のゴミ拾いに参加しませんか? と、書かれている。


「今度の日曜日なんだけど、俺も参加するんだ」


「へぇ……」
< 222 / 273 >

この作品をシェア

pagetop