トラップ教室
次の日曜日はいつものように暇な予定だった。


時々入る友人との約束もない。


家にいれば母親から勉強しろとか、掃除しろとか、口うるさく言われるのは目に見えていた。


外に出る口実には持ってこいかもしれない。


「わかった、行ってみるよ」


俺はほんの軽い気持ちでそう答えたのだった。


当日は動きやすい格好で、汚れてもいい服装で家を出た。


ボランティアに行くというと、俺の母親は目を見開いて驚いていた。


「あんたがボランティア……?」


と、胡散臭そうな顔で俺を見てきたことは、きっと一生忘れない。


俺がボランティアに行くのがそんなにおかしいか?


予定場所に到着すると、すでに響は着ていた。


みんな同じボランティアだとわかるように、派手なグリーンのゼッケンを付けている。


俺も一枚手渡されてそれを付ける。


なんだかバスケ部を思い出して心苦しい気分になった。
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