トラップ教室
5分ほど待っていると参加者が全員集まってきて、その中に見知った顔もチラホラいたので驚いた。


自分の学校でボランティアをしている学生がいるとは、思っていなかったのだ。


しかし気になるのは女子たちの視線だった。


どうやら同じ学校から参加している女子チームは、響目当てらしく、俺の横にいる響をチラチラと見ているのだ。


そしてほんのり頬を赤く染めて、ヒソヒソと噂話をしている。


きっと、カッコイイだの、イケメンだの、そんなことを言っているんだと思う。


俺はジッと女子たちを見つめていたけれど、ただの1度も、誰とも視線がぶつかることはなかった。


確かに響はイケメンだ。


優しいし、勉強もスポーツもそつなくこなしている。


そして委員会に入っているからそこそこ目立つ。


俺とは違うとわかっている。


でも、と、思う。


俺だってそんなに負けていないと思う。
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