トラップ教室
授業もいつもよりちゃんと聞くようになったし、部活にも時々は顔を出すようになった。


すると顧問は俺用に別メニューを考えてくれた。


自分が変わることで、少しずつ回りが変化していくのを感じる。


勉強もスポーツもまだまだ響には及ばない。


だけど近づきたいと思う。


自分なりのペースで、響の横に並べるようになりたいと思う。


だから……。


7月7日が響の誕生日だということも、ちゃんと覚えていた。


俺の中で響は特別な存在だったから。


勝手にライバル視しているだけだけど、そのおかげで自分が変われたから。


水に沈んでいく教室内。


俺は自信を持って電子パネルの前に立った。


これで俺もやっと響に勝つことができる。


俺の活躍でここを出ることができる。


そう思って、数字を入力したんだ。
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