トラップ教室
外に誰かいるんでしょう?


あたしたちをこんな目に遭わせている犯人がいるんでしょう?


「開けろぉ!」


叫び、殴る。


自分の拳から血が滲んできても、あたしはそれをやめなかった。


ふざけるな!


ここを開けて姿を見せろ。


高みの見物なんて許さない。


絶対に、許さない……!


「開けろ!!」


「こんなこと、人間にはできないよな……」


涙にぬれた響の声が聞こえてきて、あたしは振り向いた。


肩で呼吸をして歯を食いしばる。


「犯人って誰だよ。いるのか? そんなヤツが」


「どういう意味?」


あり得ない空間。


だけどトラップはすべて現物で、リアルと仮想がごっちゃになったような世界。
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