トラップ教室
「俺たち……大事なことを見落としてるんじゃないか?」


響はそう言い、そっと秀の体を離した。


秀の体は浮かぶことなく、ゆっくりと沈んでいく。


「見落とし?」


あたしは眉を寄せて宝箱の前まで戻ってきた。


一体なにを見落としているんだろう?


まだヒントが隠されているとか?


拳の痛みのおかげで、少しだけ冷静な気持ちになれている。


しかし、響が左右に首を振った。


「ヒントのことじゃない。もっと犯人に近いことだ」


「え……?」


「この空間を作ったのが人間だとしても、そうじゃないとしても、どうして俺たちが選ばれたんだ?」


その質問にあたしはハッと息を飲み込んだ。


そんな疑問今まで誰もしてこなかった。


ただこ学校から出ることを目指して必死になってきたから。


「なんで、あたしたちが……?」


響は頷く。


「きっと、そこに脱出のヒントがあると思うんだ」


3年E組の14人。


なぜ、あたしたちだったのか。
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