トラップ教室
この先生はなにか変だ。


なんだか違う。


そう感じるのに時間はかからなかった。


「ねぇ、大谷先生。佐竹先生ってなんか変だよね?」


3年に上がって一ヶ月ほど経過した昼休憩時間、あたしは職員室に遊び来て2年のころ担任だった大谷先生に声をかけた。


大谷先生は30代半ばの女性の先生で、まだまだ奇麗だ。


女子からも男子からもほどよく人気があって、授業もおもしろい。


「変ってなにが?」


大谷先生はお弁当箱を広げながら聞く。


先生はいつも自分でお弁当を作ってきている。


カラアゲも卵焼きも美味しそうなのに、まだ結婚する気はないと言っていた。


そのくらい、教員という仕事が楽しいらしい。


その話を聞いた時あたしは大きく納得していた。


大谷先生は困ったことがあるときや、悩み事があるときでも、どこかいつも楽しげなのだ。


そして相談事があるときは生徒に対しても、遠慮なく相談してくる。


生徒間に問題がある場合なんかは特にそうだった。
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