トラップ教室
「いつも暗いっていうか、覇気がないって言うか?」


「あぁ~……」


大谷先生はなにか考えるように視線を空中へと泳がせた。


そしてこちらへ向いてニコリと笑いかけ、端でウインナーをつまむ。


「食べる?」


聞かれて、あたしは「あ~ん」と口を開ける。


ポンッと放り込まれたウインナーを噛みしめると、コショウがきいていてとても美味しい。


「ねぇ、大谷先生はどうして結婚しないの?」


「私のことは気にしなくてよろしい」


「やっぱり、仕事が楽しいから?」


気にせずに質問を続ける。


「とにかく、佐竹先生はしっかりしてくださってるから、変だなんて言わないこと」


質問を元に戻されてしまった。


「でもさぁなんかさぁ……」


納得できなくてあたしはウジウジと大谷先生の腕を掴む。


「こら、お昼の時間なくなっちゃうわよ?」


それは困る。
< 240 / 273 >

この作品をシェア

pagetop