トラップ教室
佐竹の目に光がない原因がそれであるとしたら、佐竹はまだイジメられていた過去を引きずっていることになる。


「それって本当なのかなぁ? 本当ならさ、見て見ぬふりなんてしないよねぇ?」


美久の言葉にあたしはピクリと反応した。


この3年E組にもイジメはあると遠まわしに言っているのがわかった。


あたしはチラリと隣の席へ視線を向けた。


そこは早紀の机だった。


本人はもう帰ってしまっていないから、マリと美久も好き勝手言っているみたいだ。


「佐竹って絶対イジメを把握してるよね?」


マリが言い、美久が頷く。


あたしも本心ではそう思っていた。


早紀は机に落書きをされていたことがあり、佐竹はそれを目撃しているのだ。


だけど、その後も早紀へのイジメが無くなった気配はなかった。


佐竹はきっとなにもしていないのだろう。
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