トラップ教室
「噂ではさ、去年の夏休み中に生徒の家に行ったらしいよ?」


「え、佐竹が?」


「そう」


「でも去年は担任もってなかったよね? どうして家に行ったの?」


「それがさぁ……」


途端に声が小さくなる。


あたしは思わず2人へ振り向いていた。


するとニヤニヤした笑みを浮かべてこちらを見ている2人と視線がぶつかった。


「夏海もこっちにおいでよ」


聞き耳を立てていた気まずさと、それがバレていた恥ずかしさから苦笑いを浮かべる。


でも、ここであたしだけのけ者にされなくて良かった。


話しの続きが気になって仕方がなかったからだ。


あたしはすぐに2人に近づいて行った。


気がつけば、教室内にはあたしたち3人しか残っていない。


自然と会話する声は大きくなっていく。


「さっきの話の続き聞かせてよ」


あたしが言うと、マリは頷いた。
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