トラップ教室
のんきにそんなことを考えてしまう。


けれどやはり目覚めることはなくて、足の芯から這い上がってくる恐怖にこれは現実なのだと突きつけられている気分になった。


「ドアがダメなら窓がある」


凌が焦った口調で言い、近くの窓へ手を伸ばす。


しかし、そこも頑丈に鍵がかけられているようでビクともしない。


「少し離れろ!」


光平の声に振り向くと、両手で椅子を持っていた。


あたしたち3人は黒板の前まで移動して光平を見守る。


光平は力まかせに椅子を窓へ放り投げた。


ガンッ!!


大きな音がして椅子が落下する。


しかし、窓は傷ひとつ入っていない。


「あり得ない……」


凌が呟く。


あたしは自分の呼吸が浅くなっていくのを感じていた。


ありえない。


でもこれが現実だ。
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