トラップ教室
佐竹がいない毎日は平和だった。


授業が当たり前のように進み、クラスメートたちも大人しい。


だけどみんな感じていた。


本当に佐竹はそこまで悪い先生だったのか?


確かにノリは悪かったけれど、ただそれだけじゃなかったのか?


現にストーカーの噂は嘘だった。


自分たちはとんでもない間違いをしてしまったんじゃないのか……?


でも、それを正す前に光平がE組に戻ってきた。


「早紀、お前ちょっと残れよ」


それは嵐の日だった。


朝から天気が悪くて外では風がゴウゴウと吹き荒れている。


こんな中どうして学校へ来なければいけないのかと、憂鬱になってしまう日だった。


「え?」


早紀はおどおどとした様子で光平へ聞き返している。

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