トラップ教室
「放課後だよ。どうせ暇なんだろ」


「で、でも……」


「じゃ、そういうことで」


一方的に話を切り上げて自分の席へ戻っていく光平。


これ自体がイジメだとは思っていない。


だけど早紀はビクビクと怯えて、助けを求めるように周囲を見回している。


しかし、早紀と光平の会話をいちいち聞いている生徒なんていない。


あたしは一瞬早紀と目があったけれど、何事もなかったかのようにふるまって、視線をそらせたのだった。


そして、放課後が来た。


相変わらず天気は悪く、外は横殴りの雨だ。


こんな中帰らないといけないなんて最悪だった。


あたしは重たいため息を吐き出してカバンを手に立ちあがる。


その時、光平が早紀に近づくのが見えた。
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