トラップ教室
同時に他のクラスメートたちがズラリと早紀を取り囲む。


え……?


示し合わせたようなその動きにあたしは唖然としてしまう。


そしてためらいがちに輪の中に入って行った。


輪の中心には早紀が居心地悪そうに立っている。


「お前さ、佐竹のことどう思う?」


光平に聞かれて、返事もできずに早紀はうつむいてしまった。


これだけの人数に囲まれれば誰だって言葉を失うと思う。


「佐竹の授業中、結構ヤジ飛ばしてたじゃん」


梓が早紀の机に両手をついて言った。


「そ、それはみんなが……」


「あたしたちが、なに?」


マリがキツイ口調で言う。


「みんながやってたからやった。って言いたいの?」


「それは……」


きっとそうなんだろう。


あたしだって、大勢いる方に流されている。


今だってそうだ。
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