トラップ教室
「宝箱が開いたんだ」


響はそう言って手の中の鍵を見せてきた。


それは銀色のどこにでもある、変哲のない鍵だ。


「なんの鍵なんだろう?」


「宝箱の内側に書いてあった。これは昇降口の鍵だって」


「昇降口?」


あたしは首をかしげて聞き返す。


昇降口の鍵は最初から開いていたはずだ。


「あぁ。1年生の方のな」


「え……?」


「きっと、そこからなら安全に出られるってことなんだと思う」


最初から3年生の昇降口が開いていたのはフェイクだったのか……。


全身から力が抜け落ちていく。


「早くここから出よう。佐竹を探さないと」


そう言われて、あたしはどうにか立ち上がった。


足元がふらついて、うまく歩くことができない。


それでも歩かないといけない。


自分たちがしてしまったことを、ちゃんと見なきゃいけない。
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