トラップ教室
「早紀!」


凌が手を伸ばす。


しかし遅かった。


早紀の体はピアノ線に触れていたのだ。


張り詰めていたピアノ線は一瞬緩む。


次の瞬間、頭上から何かが落下してきた。


咄嗟にその場から離れて身をかがめる。


早紀の悲鳴が聞こえてきて、次になにかが蒸発していくようなジュッという音が聞こえてきた。


一体なにが起こったの……?


恐る恐る目を開けてみると、まずはブルーのバケツが床に転がっているのが見えた。


頭上から落下してきたものはきっとこれだったのだろう。
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