トラップ教室
☆☆☆

放課後になり下駄箱へ向かうと、あたしの上靴きがなくなっていた。


あたしは小さく息を吐きだし、周囲を調べる。


しかし、目につく場所には隠されていないようだ。


仕方なく校舎内へ戻ってトイレの中やゴミ箱の中を確認していく。


一週間前にも同じように靴を隠されて、そのときは掃除道具入れの中から見つかった。


今度も同じように探してみるけれど、そこにはなかった。


もうほとんどの生徒たちが帰宅していて、残っているのは部活動をする生徒ばかりだ。


「どこに行ったんだろう」


あたしは途方もなく呟く。


靴を探しながらどこからか笑い声が聞こえてくると、その度にあたしはビクリと体を震わせた。


あたしの靴を隠した犯人が、今のあたしを見て笑っているのではないか?


そんな気持ちになるのだ。


梓も凌もすでに帰ってしまった。


あたしに声をかけてくれる人は誰もいない。


だって……3年E組の中であたしとまともに会話をしてくれるのは、あの2人だけだから……。
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