トラップ教室
壮絶な出来事に立っていられなくなる。


足から、体中から力が抜け落ちてその場に膝をついた。


「うっ……」


光平が口に手を当てて、教室の隅まで走っていく。


なんだこれは。


一体どうなってるの?


ここは普段通っている自分たちの学校で、3年A組の教室で間違いないはずだ。


それなのに、どうして天井に扉なんかがあるの?


こんなこと、普通の人間ができるわけない。


そう考えたとき、ゾクリと背筋が寒くなった。


まるでわけのわからない力に押さえつけられているような気がする。


思えばここで目が覚めたときからそうだった。


あたしたちは全員自分の家で眠っていたはずだったのだ。


14人もいる3年E組の生徒を一斉にここへ連れてくるなんてこと、できるわけがない。


仮に薬で眠らされていたとしても、光平のような大柄の男子生徒だっているのだ。


途中で目が覚めてもおかしくない中、着替えまでさせる理由がわからなかった。
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