トラップ教室
「どうしたの?」


「あたしたち、どうしてこんなところにいるんだろう?」


その質問にあたしは左右に首を振った。


「わからない」


「あたし、家で寝てたんだよ?」


「うん。あたしも同じ」


「俺もだ」


あたしたちの会話が聞こえていたのか、隣を歩いていた長尾凌(ナガオ リョウ)が会話に入ってきた。


「気がついたらここにいた」


凌はなにかに警戒するように周囲を見つめる。


見えない魔物を睨みつけているように見えた。


「絶対におかしいよね」


優香がそう言った時、前方に昇降口が見えてきた。


下駄箱を確認してみると、全員分の靴がちゃんと揃えて入れられている。
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