トラップ教室
「だ、だからなんでもないってば」


俺は秀から顔を逸らして答える。


「でもまぁ、いいんじゃねぇ？」


「え？」


「好きなら好きでいいだろ、別に」


アッサリと言う秀に俺は瞬きをする。


い、いいのか……？


そんな気持ちになってくる。


「でも気を付けろよ、お前結構人気あるからなぁ。早紀が女子のターゲットにされるかもな」


そんなわけあるかよ。


心の中で反論し、チラリと早紀へ視線を向ける。


早紀は今どんな小説を読んでいるのだろう。


ブックカバーをしているから、その内容が気になって仕方なかった。


できれば同じ小説を読んでみたいな……なんて。


そんなことを考えていると秀は俺の肩をポンと叩いて「ま、頑張れよ」と、わけしり顔で自分の席へと戻って行ったのだった。
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