トラップ教室
もちろん、自分でここまで歩いてきた記憶はない。


怪訝に感じながら靴を履き替えてドアへと向かう。


梓が大きなあくびをしてドアに手をかけた時だった。


ジジッとノイズ音が聞こえてきて全員が立ちどまった。


「E組の生き残り全員そろえば外へ出ることができるようになります」


それは子供の甲高い声だった。


思わず耳をふさぎたくなるような気持ち悪い声。


「なにこれ、誰か放送室にいるの!?」


あたしは思わず声を上げていた。


みんなの表情も険しくなっている。


「ほっとこうよ」


梓はそう言い、ドアに手をかける。


ドアは意外にもすんなり開いた。


「ほら、帰るよ」


そう言って足を一歩踏み出した、次の瞬間だった。
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