リアル彼氏
「えっと、あの」


とにかく早く何か言わないといけないと思い、無意味な言葉ばかりが出てくる。


おちつけあたし!


心の中で自分を叱咤して、ようやく貴也を真正面からみることができた。


「あたしでいいの?」


「美弥がいいんだ」


しっかりとした返事に、心が舞い上がっていくのを感じる。


神様、これは現実でしょうか?


夢を見ているんじゃないでしょうか?


そんな風に考えながらあたしは知らず頷いていた。


貴也の表情が一瞬にして晴れやかになる。


「やったぁ!」


両手を拳にしてガッツポーズを取る。


遊んでいた子供たちが大きな声に驚いてこちらに注目している。
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