リアル彼氏
☆☆☆

翌日、教室へ入るとすぐに貴也が駆け寄ってきた。


「昨日は俺だけ盛り上がっちゃってごめんな」


そう言って後ろ頭をかく。


「ううん。あたしだって嬉しかったし」


正直今もまだ夢を見ているようだ。


あたしは目の前に立つ貴也を見上げた。


長いまつげに、艶やかな髪。


すっと通った鼻筋は本当にモデルみたいだ。


こんな人が自分の彼氏になっただなんて、信じられない。


こうして2人で会話をしているだけで幸せな気持ちで満ちていく……。


そんな幸せをぶち壊すような笑い声が教室に響きわたり、あたしはハッと息をのんで振り向いた。


見るとそこには3人の女子生徒たちがいて、マリナを取り囲んでいるのだ。


マリナの髪にはゴミがくっついていて、足元にはゴミが散らばっている。


すぐに頭からゴミをかぶせられたのだとわかった。


マリナはその場に呆然として立ち尽くしている。
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