リアル彼氏
一瞬、ズキンッと胸が痛んだ。


ほんの数日前までこんなことにはなっていなかったのに……。


思わずマリナに手を伸ばそうとする。


しかし、それを貴也が遮った。


「今はやめとこう」


「え」


あたしは驚いて貴也を見つめる。


「後から声をかければいいだろ?」


それはそうだけど……。


貴也はあたしが巻きこまれてしまうことを懸念しているのだ。


それは理解できても、止められたことに首を傾げてしまう。


「そんなことよりさ」


貴也は笑顔で話題を変えたのだった。
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