リアル彼氏
宿題は全然はかどらなくて、あたしはベッドに横になった。


スマホを操作して、数日ぶりにリアル彼氏を起動する。


画面上に表示された藍はなにも変化していないのに、今のあたしにはくすんで見えた。


きっと、本物の恋をしているからだろう。


あたしにはもう、藍は必要ないのだ。


それでも途中投げにするのが嫌で、なんとなくプレイする。


確か藍が他の子にデートに誘われて、それをあたしに笑いながら説明したところからだ。


思い出して、また少し嫌な気分になった。


この藍というキャラクターの性格に少し疑問を感じる。


「大事な体育祭の後のデートは、君とじゃなきゃね」


藍はニコニコと笑顔を浮かべている。


へぇ、体育祭の後に誘われたんだ。


その瞬間、小さな違和感が胸に湧いてきた。


あたしは自分の胸に手を当てる。


なんだかモヤモヤとした気分だけど、その正体がつかめない。


あたしはそのままゲームを続けた。
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