リアル彼氏
グルグルと思考回路が渦巻いている。


だって、今の手紙には見覚えがあった。


それに、体育祭の後にデートに誘われたとも書いてあった。


どれもこれも、自分の実体験に共通しているのだ。


あたしはドクドクとはねる心臓を鎮めるように深呼吸をした。


こんなことよくある体験なんだ。


ただの偶然だ。


自分に言い聞かせながら、日記帳を取り出した。


この前読んだのは体育祭の後からだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込んでページを開く。


《今日は調理実習でカップケーキを作った!》


当時の自分が書いた文章に冷や汗が流れるのを感じる。


《1度は振られたけど、諦めないでてマリナに言われたから、もう少し頑張ってみようと思う!


マリナに言われたとおり、重たくなりすぎないような手紙も書いた。


貴也、読んでくれるかな?》


そう、まさにこの時の手紙がさっきゲームで出てきたものと同じなのだ。
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