リアル彼氏
なにこれ、こんな偶然ってある?


このゲーム内でのリナという人物は、まるであたしそのものなのだ。


あたしが貴也と誰かの邪魔をしているようにしか見えない。


「この恋愛体験は貴也のもの……?」


あたしはスマホに視線をうつして呟く。


そう考えるとすべて辻褄があう。


藍は貴也なのだ。


そしれリナはあたし。


じゃあ、ゲームの中のヒロンは誰……?


そのまで考えてあたしはまた左右に首を振った。


ヒロインが誰だっていい。


だって、貴也はもうその子とは別れているのだから。


そしてあたしの彼氏になったのだから。


自分にそう言い聞かせても、ゲーム内での笑い声が耳から離れない。


貴也はあたしからの誘いや手紙を見て、笑いものにしていたのだ。


勇気を出して書いた手紙をあんな風に……!


恥ずかしさと憤りがこみ上げてくる。


貴也がそんな人だとは思わなかった。


そんな風に人の気持ちを踏みにじる人間だったなんて!


あたしはギュッとスマホを握り締めたのだった。
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