リアル彼氏
「お前な!」


男子生徒が拳を握り締める。


殴られる!


思わず顔をそむけたとき、「やめて!」と、マリナの声が響いた。


見ると、マリナが弘志君を庇うように立ちはだかっているのだ。


あたしは驚いてその場面を見つめた。


クラスメートたちも固唾を飲んで見守っている。


「なんで……」


危うくマリナを殴ってしまいそうになった男子生徒は、呆然としている。


マリナはなにも言わず、自分の席へと戻っていく。


「へぇ、カッコイイところあるじゃん」


安藤さんは関心したように呟いた。


どうして……?


あたしの頭には疑問ばかりが浮かんでくる。


どうして弘志君を庇ったりしたんだろう?


あんな、最低なやつなのに……。
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