リアル彼氏
「あのさ……」


「なに?」


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


ほんの少しだけ質問するくらいならいいはずだ。


だって、あたしたちは付き合ってるんだもん。


気になることがあるなら、ちょっとくらいなら……。


「貴也の前の彼女って、誰?」


あたしの質問に貴也の表情が一瞬固まった。


その後瞬きを繰り返し「どうしてそんなこと聞くんだ?」と、聞いてくる。


どこか焦っているような雰囲気を感じ取れた。


「気になったから」


「元カノのことなんて、もう忘れたよ」


そう言って笑って見せるが、笑顔がぎこちない。


あたしに知られてはまずい相手なのだろうか。


だとしたら1人しかいない。


だってあたしは高校に入学してから友人らしい友人は1人しかいなかったのだから。
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