リアル彼氏
すべてのことがわかって拳をきつく握り締めた。


「ご、ごめん、トイレ」


貴也は早口に言って教室を出て行ってしまった。


あたしはその背中を追いかけることができなかった。


悔しくて、悲しくて、やるせなくて。


色々な感情が押し寄せてきて、全然整理できない。


あたしがプレイしていたのは貴也とマリナの記憶……!


ゲームをしている時の幸せな感情を思い出して、また悔しくなった。


あんなゲームで幸せを感じるなんて、あたしはバカだ!


大きく息を吸い込むと、あたしはマリナへ向けて大股歩いた。


さっきの出来事があったせいか、マリナはうつむいて座っている。


「ちょっと、話があるんだけど」


あたしはマリナを睨みつけて、そう言ったのだった。
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