リアル彼氏
「な、なによ。自分だって……」


「あたしはただ、貴也に相談に乗ってもらってただけ! イジメのこと、誰かに言いたかったから!」


マリナは必死で、目に涙を浮かべている。


「でも、写真があったよね?」


「あれは親を安心させるためだよ。元気がないあたしを見て心配してたから、ちゃんと友達がいるよって、伝えるために!」


あ……。


そうだったんだ。


あれは浮気ではなかったのだ。


一瞬自分の体から血の気が引いて行くのを感じた。


自分はなんてことをしてしまったのだろうと。


でも、そんな後悔もすぐに消え去った。


今回のことが勘違いだとしても、1年生の頃の出来事はチャラにはならないのだ。


あたしは気を取り直してほほ笑んだ。


「あっそ。紛らわしいことしないでよね」


あたしは冷たくマリナへ言い放ったのだった。
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