リアル彼氏
仕方なく立ち上がり歩いて行って読むことにした。


「え……」


そこに書かれている文字に、一瞬頭の中が真っ白になった。


《深川美弥はインラン》


白いチョークで確かにそう書かれているのだ。


なにこれ……。


すぐには動くことができなかったが、ドアが開く音がしてようやく体が動いた。


誰がこんなわけのわからないイタズラ書きを!


憤りを感じながら素早く黒板を消す。


さっきの音で教室に入ってきたのは貴也だった。


「あ、貴也!」


あたしは咄嗟に声をかけた。


貴也は一瞬あたしを見て、無言で自分の席へと向かう。


あたしは慌ててその後を追いかけた。


あたしはなにも悪いことはしていないのだ。


堂々としていればいい。


「1年生の時のことで、話しがあるんだけど」


そう言うと、貴也は不適な笑みを浮かべた。


その笑みに一瞬たじろいでしまう。
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