リアル彼氏
☆☆☆

実は貴也もあたしのことを気にしていたというのは、正直驚いた。


貴也からのメッセージは1日に1度は必ず来た。


次のデートが決まるまで、そんなに時間も必要なかった。


港の見える高台へ行った時はキスをして。


遊覧船で花火を見た。


この時はまだ夏にはなっていなかったけれど、遊覧船が開業してちょうど20周年目ということで、盛大なイベントが行われていたのだ。


そんな日が続いていたときのことだった。


「カッコイイなぁ」


男女で同じ体育館を使って体育の授業を受けているとき、美弥が不意にそう呟いたのだ。


視線の先を追いかけると、貴也がいた。


まさか……。


そう思い、美弥に声をかけた。


「好きなの?」


短い質問に美弥は顔を赤らめてうつむいた。


なんだ、そういうことだったのか。
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