リアル彼氏
☆☆☆

「デートに誘われたけど、ちゃんと断ったから」


翌日、無事に体育祭が終わった後貴也はあたしにそう報告をしてきた。


「そっか」


あたしは頷いて、そっけなく返事をする。


さっき美弥が泣きながら電話をしてきたから、知っていることだった。


もちろん、あたしはいい友人を演じて慰めておいた。


これで貴也があたし一筋だとわかった。


これほどのイケメンが自分のことを考えてくれているのだから、気分が悪いわけがない。


だけど、簡単に手に入ってしまった貴也に少し退屈を覚え始めていたのだ。


そんなあたしの遊び道具はやっぱり美弥だった。


美弥は1度デートを断られただけで、貴也のことをあきらめようとしていた。


でも、あたしは懸命に励ましてもう1度チャレンジするように説得したのだ。


だって、すぐに身を引かれたらつまらないから。


すると美弥は調理実習の時間に人よりも豪華なカップケーキを作り始めたのだ。


それを貴也にあげるのだと、すぐに気がついた。


ピンク色に彩られたカップケーキはお店に並んでいるものと同じくらい綺麗だ。


美弥って体力はないけど、指先は器用なんだよね。


そんなことを考えながら、手紙もつけるように助言した。
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