リアル彼氏
重たくなりすぎず、だけどちゃんと呼んでくれそうなものを美弥は用意していた。


「見ろよこれ」


その日の内に貴也はあたしに美弥からの手紙を見せてくれた。


当たり障りのない文章からは必死さがにじみ出ていて、思わず噴き出してしまう。


美弥がどれだけ努力したって、報われることはないのに。


あたしは両腕を伸ばして貴也の首にからめた。


そして唇を近づける。


貴也はそれを受け入れ、後ろ手に美弥からもらったカップケーキを捨てたのだった。
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