リアル彼氏
弘志が暴力をふるう人間だとは思っていなかった。


それ以上にひどい束縛だ。


あたしのスマホからは男子の名前がすべて消され、休日には1時間に1度写真を送ることが義務付けられた。


そんな弘志に愛想が尽きるのは早かった。


あの日、最初に叩かれた瞬間から、あたしはどうやって弘志を別れるかを考えていた。


そして、最初のチャンスがやってくる。


弘志が他の女子と歩いていたという目撃があったのだ。


あたしはすぐに弘志へ詰め寄った。


もう別れると。


しかし、弘志はそれを許さなかった。


自分はひどい束縛をするくせに、浮気者。


部が悪くなるとすぐに手をあげた。


このときあたしはとんでもない男と付き合ってしまったのだと理解した。


弘志と別れるためには並大抵のことではダメなのだ。


弘志があたしに興味を失うような、なにかが……。
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