リアル彼氏
☆☆☆

貴也とのデートで舞い上がった美弥は、少しの間ゲームから離れていた。


でも問題はなかった。


このくらいのことは想定内だ。


きっと美弥はまたゲームに戻る。


だって……。


あたしはスマホで美弥のプレイ状況を確認した。


運営に根回しをして、美弥のプレイ状況を把握できるようにしておいたのだ。


ここまで運営が協力してくれるのは、あたしと貴也の経験を無料で提供したからだった。


美弥は今、藍と名付けたキャラクターの性格を不審に感じているはずだ。


自分の体験が反映されていると気がついている頃かもしれない。


こんな中途半端な状態で無視し続けることができるとは思えなかった。


そして、美弥はプレイを再開させ、自分のことが書かれているのだと気がついたのだ。


その間、あたしは学校内でヒドイイジメに遭っていた。


弘志の浮気相手が乗り込んできたのだ。


いや、弘志にとってはあたしの方が浮気相手だったのかもしれない。


どっちでもいいと思えるほど、あたしの気持ちは離れていた。
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