リアル彼氏
電話に出るわけにはいかず、ジッとスマホを見つめる。


20回ほどしぶとく鳴った後で、ようやく電話は切れた。


それを確認してホッと息を吐き出す。


弘志君の番号は拒否しておいた方がよさそうだ。


そう思った直後だった。


突然、部屋の窓に小石が投げつけられたのだ。


コツンッと小さな音だったけれど、神経がとがっている今のあたしには大音量に聞こえ、ビクリと体を震わせた。


「なに……?」


恐る恐る立ち上がり、窓辺へ歩み寄る。


下の道路を確認してみると、そこには弘志君が立っていたのだ。


「なんで!?」


咄嗟に身をかがめる。


しかし、弘志君とはしっかり目が合ってしまった。


向こうはあたしがいることに気がついているはずだ。


心臓がドクドクと早鐘を打ち始める。


その時だった。
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