リアル彼氏
途中、硬いものにぶつかった。


きっと骨だろう。


あたしはマリナの体内で刃を軌道修正させた。


グチュッと肉が潰れる音がする。


そして更に奥深くまで差し込み……一気に引き抜いた。


マリナの体がゆっくりと倒れる。


貴也が驚いた顔でマリナを見ている。


あたしは一歩後ろに下がり、血のついた包丁をバッグに隠した。


すべて、電車が通り過ぎてしまう前に終わっていた。


倒れたマリナの背中から血があふれ出し、コンクリートに血だまりを作っていく。


貴也がなにか叫んでいるけれど、あたしには聞こえてこなかった。


一瞬マリナと視線がぶつかった。


あたしに気がついて目を見開く。


「み……や……」


マリナがあたしの名前を呼んだけれど、周囲はパニックで気がつかなかった。


あたしはニタリと笑みを浮かべて、その場を去ったのだった。
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