リアル彼氏
どのクラスでもだいたい同じ中学の子がいて、入学初日から仲良くできたりするのに、自分だけで遅れてしまった感じがした。


周囲から聞こえてくる話声や笑い声を聞くのがつらくなってきて、あたしは自然と早足になっていた。


1人で列から外れて教室へ向かう。


そんな時だった。


「ねぇ」


不意に後ろから声をかけられて、飛び上るほどに驚いた。


知り合いがいたのだと思って喜んで振り向くと、そこには見知らぬ美少女が立っていた。


あたしは瞬きをしてその子を見つめた。


見たことのない顔だ。


「ねぇ、一緒に行かない?」


「え?」


あたしは驚いて聞き返していた。


「実はあたし1人なの」


美少女の言葉にあたしは合点がいった。


この子はあたしと同じように不安な気持ちを抱えていたらしい。


形のいい眉をハの字に下げている。
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