リアル彼氏
☆☆☆

それにしてもマリナがこんなにアッサリ信じてくれるとは思わなかった。


自分の部屋でゲームをプレイしながら鼻歌を歌う。


マリナはあたしの嘘をすっかり信じ込んでしまっているため、弘志君との自慢話しがおろそかになっているのだ。


自慢を聞かされない分ストレスは軽減されているし、マリナへ自慢話しができるからとても気分がいい。


このゲームを始めて正解だった。


ゲーム上ではあたしと藍が2度目のデートをしているところだった。


場所は遊覧船だ。


1度目のデートの時に行った港公園から、そう離れていない。


十分行ける範囲であるところにもリアリティがあった。


「今日は夜まで大丈夫?」


遊覧船の中で藍が聞いてくる。


「もちろん、大丈夫だよ」


答えるあたし。


まさかこのままホテルに……なんてことにはならないと思う。
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