リアル彼氏
そして話の閉めとして必ずこう言うのだ。


「美弥も早く彼氏作りなよぉ」


そんなの、できてたらとっくに作ってるよ。


と、いつも思う。


そのセリフを言う時のマリナはいつも自身満々な表情で、どこかこちらを見下しているようにも見えた。


あたしの被害妄想かもしれないが、それが一番嫌な瞬間だったのだ。


1年生のころ、最初に出会ったあの時のことはまだ覚えているけれど、その記憶はどんどんセピア色にくすんでいく。


互いに1人で心細くて一緒に歩いた廊下も、今じゃ普通に1人で歩けるようになってしまった。


クラスメートたちとも打ち解けて、マリナが風邪で休んだりしても他に会話をしくれる子はいる。


そう思うのはきっとあたしの身勝手さのせいだと思う。


だけど、マリナとの会話にほとほと疲れていることは事実だった。
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