リアル彼氏
そうやって予習をしたおかげか、放課後になったときにはあたしの気持ちは少し前向きになれていた。


よさそうなセリフもいくつか頭に入れておいたから、きっとどうにかなると思う。


「美弥」


後ろから名前を呼ばれて思わずビクリと跳ねあがる。


振り返ると貴也が立っていた。


「準備できた?」


奇麗な顔で小首をかしげて聞いてくる。


たったそれだけであたしの心は鷲掴みにされてしまう。


「う、うん」


ぎこちなく頷き、あたしは貴也と肩を並べて教室を出たのだった。
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