リアル彼氏
☆☆☆

ゲーム内でいくらデートを繰り返しても、実際のデートとなると全く違う。


普通に歩いているだけで全身から汗が噴き出してきてしまう。


手の平にジットリと滲んできた汗を、こっそりスカートでぬぐう。


どうか貴也に悟られませんように。


ドキドキしながらそんなことを考えているあたし。


一方貴也はデートに慣れているようで、歩きながら会話を楽しんでいるようだった。


あたしと違って変な汗だってかいていない。


スマートな貴也に心が惹かれていくのを感じながらも、貴也の女なれしていそうな振る舞いに胸がモヤモヤしてくる。


貴也はあたし以外の女の子と沢山デート経験があるのかもしれない。


これだけイケメンなのだから、当然だった。


そう考えると胸がキュッと締めつけられた。


あたしはまだ貴也のことが好きだったのかもしれないと、その時初めて感じた。


「どうした?」


無言になってしまったあたしを心配して、貴也が立ち止まる。


「な、なんでもないよ」


至近距離で見つめられて心臓がドクンッと大きく跳ねる。
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