リアル彼氏
あたしは咄嗟に貴也から身を離していた。


カッと全身が熱くなるのがわかる。


「美弥、耳まで真っ赤」


貴也がそう言って笑う。


「からかわないでよ」


そう言い、うつむいた。


貴也を真正面から直視することができない。


自分の心音は貴也に聞かれてしまいそうで恥ずかしかった。


それから先は学校での他愛のない会話がほとんどだった。


誰と誰がつきはい始めたとか。


どの先生の授業が面白いとか。


なんでもないような話だけれど、それだけで十分に楽しい時間を過ごすことができた。
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