リアル彼氏
☆☆☆

あたしは1年前の、貴也を好きになったときのことを思い出してぼーっとしていた。


振られてしまってからできるだけ忘れようと思っていたけれど、こんなに鮮明に覚えていたなんて……。


なんだか自分が恥ずかしくなってしまう。


ふとスマホに視線を向けるとゲームが起動されていた。


画面上では藍がほほ笑んでいる。


「そういえば、ゲームの日付が違うんだよね」


今さらだけれど、あたしはそう呟いた。


右下に表示されているゲーム内の日付が、今から1年前のものになっているのだ。


変更できないのか試してみたこともあるけれど、どうにもできず、そのままにしてある。


元々機械音痴だから、詳しいことはわからないままプレイしているのだ。


画面上では藍がニコニコとほほ笑み「今日、リナちゃんにデートに誘われたんだ」

と言いだした。


そのセリフにあたしは目を丸くする。


「なにこれ、今まで他の女の影なんてなかったのに」


眉間にマユを寄せて画面を見つめる。


でも、リナちゃんというのは時々ゲーム内に出てきている。


主人公と同じクラスの女の子だ。
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